国威は外国車に乗って。

 7月14日の革命記念日にシャンゼリゼ大通りで行われる軍事パレードは、フランスの威信を国内外に示す一大イベントだ。大空に煙幕で三色旗を描く戦闘機や、一糸乱れぬ兵士たちに、国民としての誇らしさを感じる人も多い。しかし、今年は複雑な思いでジープの車列を眺めた人たちもいた。フランシュ=コンテ地方で軍用車の製造に携っている人たちだ。
 今年の5月に行われた軍の入札では、シトロエンやプジョー、ルノーといった〈御用達〉 の国内業者を出し抜き、アメリカのフォード社が4輪駆動車1000台という大型の契約を勝ち取った。フィガロやパリジャンなどの新聞によれば、白羽の矢が立ったのは、「技術的に優れているから」だそうだ。
 サッカーの代表チームと同じくらい、車のブランドというものは人々の国民意識と直結しているらしい。失業問題が深刻化するなか、外国企業にお株を奪われたこの決定に、多くの非難が集中した。「国内業者に発注していれば7、8人の新たな雇用が生まれた」と、ポクラン・ヴェイキュール社の社長は嘆く。1万5千人の反対署名を集めた地方議員もいる。
 次に軍が車輌の大量入札を行うのは2021年だという。その際は四輪駆動車4000台が発注されるそうだが、今回の雪辱(せつじょく)を晴らすには随分と遠い話だ。その頃までには車両に限らず他の備品についても同じように外国企業の進出が相次ぎ、7月14日のパレードが様変わりしている可能性もある。ひょっとすると、白ケピを被った精悍(せいかん)な外人部隊の兵士たちのように、外国製の車両や兵器が祭りの〈花形〉としてもてはやされている、なんてこともありうるかもしれない。(浩)