9月に開催されたインテリアトレンドシーンの国際見本市「MAISON & OBJET」の「Now」のブースの中で目を引いたのが〈 SUZUSAN 〉。
洗練された絞り染めのショール、絞りの照明シェード… 伝統工芸の絞りがモダンなアートの展開を見せる。
愛知県名古屋市の有松地域で「有松鳴海絞り」の絵刷りで知られる鈴三商店〈 SUZUSAN 〉。現在の店主で5代目という100年以上の歴史を持っている。この〈 SUZUSAN 〉のデザイナー、村瀬弘行氏は、趣味で見つけたアンティーク眼鏡に絞り染めセーター、どこかインテリジェンスな研究者の雰囲気を持っている。2003年からイギリスでアートを学び、続いてドイツのデュッセルドルフ国立芸術アカデミーで建築と美術を習得。
「伝統を維持することだけに満足するのではなく、進歩がなければならない」というスローガンを掲げ、2008年、デュッセルドルフに〈SUZUSAN〉のデザイン・スタジオ を設立する。長い歴史を持つ家業を継ぎながら、失なわれつつある「有松鳴海絞り」の伝統の活性化を計る。
光触媒( 二酸化チタン )を使い、木綿やポリエステルの絞りと融合させることで、環境を配慮した新しい絞りの素材を開発している。衣類だけではなかなか市場が広がらないので、照明のシェードの素材として有松鳴海絞りの用途を拡大。伝統技術と最先端の技術を組み合わせ、ヨーロッパに活路を見出している。(苗)
www.suzusan.com