1994年に開通した英仏海峡トンネルが、この5月6日で20周年を迎えた。1986年にミッテラン大統領とサッチャー英首相が建設を決め、20世紀最後のビッグプロジェクトとして華々しく開通したにもかかわらず、当初計画予算の倍に上った建設事業費に英仏合同ユーロトンネル社は膨大な負債を抱えてスタート。利用者数も予想を大幅に下回り、2006年には倒産寸前に。その際、負債を株式化して90億ユーロから40億ユーロに減らし、ゴールドマン・サックス銀行など機関投資家が主要株主になり、新会社に再編されて再出発。
当初予想の3000万人には及ばないながらも、2013年には1000万人のユーロスター乗客を記録。前年より、乗客は4%、自動車とトラックの利用もそれぞれ2.6%、4.7%伸びた。同社の売り上げは同年10億ユーロを超え、純利益も2千万ユーロ。2016年にはロンドン=ブリュッセルおよびケルン間のドイツ鉄道による運行も予定されており、見通しは明るい。ただしその陰に、退職金などをつぎ込んだ一般の小口投資家が、90年代の株価暴落で全財産を失ったという悲劇があったことは忘れられない。(し)