◎早舩和久(パリ2年)
専門学校でパン作りの勉強をしていた早舩さんは、2004年、卒業旅行で2週間のフランス旅行に行った。在学中に友人からバゲットのおいしさを教わっていたが、フランスで食べたバゲットにさらに感動した。「小麦と水と、酵母だけでつくるパンがこんなにおいしくなるんだ」
専門学校を出たあとは、パン屋で働いていたが、いつかは自分の店を出すために、フランスで修行したいと考えていた。
フランスに行くには、ワーキングホリデーの制度を利用するのが一番現実的だった。2007年に応募したが、その年は受からなかった。翌年は日本ワーキングホリデー協会を利用して、日仏交流150周年のために募集枠が拡大されたこともあり、ビザを取得し、2009年にフランスに着いた。
発つ前に、知り合いの紹介でパリの日本料理店で働き口を見つけ、毎週通っていたフランス語教室の紹介でホームステイ先を見つけた。パリに着くと、いろいろなパン屋に履歴書を送ったが、語学力不足で門前払いが続いた。
そんなある日、エッフェル会(現 Le Pont des artisans)というフランスで働く日本人のパティシエなどが集まる会の存在を知った。その会に参加し、仕事を探しているという話をしていたら、バゲットコンクールで優勝したLe Grenier à Painで働いていた人と知り合い、紹介してもらい、雇ってもらった。
数ヵ月働いたが、ワーキングホリデーのビザでは、1年の滞在しか認められていない。
またパリに戻ってくるから、雇ってほしいとお願いし、最初のパリ滞在を終えた。
一番現実的にすぐにフランスに戻れるのは、学生ビザだった。最終的には日本で自分の店を開く夢があったが、再度フランスに渡ってからの成り行きについては、「フレキシブルにその時々で考えようと思っていました」
2011年2月、再びパリに戻ると、語学学校に通いながら、パン屋の上のアパルトマンに住み、仕事をした。仕込みから焼きまですべてをやった。毎日、200キロ近い小麦粉を使い、平日は500〜600本、休日には1200本近いバゲットを焼いていた。仕込みを一人で任されることもあった。ひたすらパンを焼く毎日のおかげで、どういう状況でどういう焼き具合になるかという感覚が養われた。
当初は2、3年は続けようかとも思っていた。学生の資格でアルバイトとして仕事を続ける可能性や、労働ビザの申請も考えた。しかし、いろいろな手続きに伴う面倒さやストレスを避けたかった。また、日本と比べるとゆったりとした仕事の環境に慣れてしまって、日本に帰るのがいやになるのではという不安もあった。そして何よりも、目標であった自分のパン屋を開くためには、体力があるうちに始めた方がいいし、これからもパン屋が増えるであろう日本の状況を考えれば、早めに日本に戻った方がいいと考えた。
2012年、滞在許可証の更新時期に日本に戻った。27歳、足かけ2年、フランスで経験も積んだ。自分にとってはベストのタイミングだった。そして2013年6月、埼玉県川口市にPain Porteをオープンした。今はパンの販売だけだが、いずれはカフェを併設したり、洋菓子にも力を入れたいと考えている。(樫)
お店はフランスで一般的な対面販売のかたちにしている。
Pain Porte
埼玉県川口市戸塚6-16-4 Tel:048-299-7616
Séduit par la saveur de la baguette française HAYAFUNE Kazuhisa (2 ans à Paris)
C’est tout juste après sa formation de boulanger au Japon, lors d’un bref voyage en France, que Kazuhisa a été littéralement tourneboulé par la saveur de la baguette en France : « Un délice que cette baguette produite rien qu’avec de la farine, de l’eau et de la levure ! ».
Il se décide de retourner en France pour parfaire sa formation et réaliser son rêve d’ouvrir sa propre boulangerie. Avec un visa Working Holyday d’une année, il revient à Paris en 2009 et envoie son C.V. à plusieurs boulangeries, mais son niveau de français ne lui permet pas de trouver un emploi.
Grâce à l’association des pâtissiers japonais en France, Kazuhisa finit par trouver du travail, mais hélas, son visa vient à terme et l’oblige à rentrer au Japon au bout d’un an avec, cependant, une promesse d’embauche.
En 2011, il est de retour à Paris. Tout en suivant des cours de français, il travaille en boulangerie où il pétrit 500 à 600 baguettes par jour, et le double le week-end ! C’est tout au long de ce travail quotidien qu’il a pu acquérir le secret d’une bonne cuisson de la baguette.
Rentré au Japon en 2012, c’est en juin 2013 qu’il a finalement concrétisé son rêve !