2回目の紹介となるサンマルタン運河地区は、今、パリで最もホットなエリアである。セリアさんはここに住んで5年。「小さい頃の記憶では、この辺は汚くて危ない地域だったわ(笑)」。カラフルなファサードが目印のブティック〈Antoine et Lili〉ができたのは10数年前。それから徐々に界隈にはBOBO御用達のブティックやレストラン、バーが増え始め、ここ数年の発展振りはめまぐるしい。「外国人観光客もずいぶん増えたとはいえ、観光地というよりは村的な雰囲気は相変わらずで、うまくフィットしていると思うの」。そして「〈Chez Prune〉で朝のコーヒー飲んでたら、ブラッド・ピットやジョニー・デップがごく普通に隣にいたこともあるわ」。彼らはこの界隈にアパルトマンを持っていた、といううわさがある。
セリアさんは元々この地域出身ではない。でも幼少時代の友だちや学生時代の友だちの多くが次々と集まり住み始め、また近くのブティックに勤める友人もいて、ランチにアペリティフにと毎日集う。「不思議と皆、ここに引き付けられてくるのよね」
セリアさんはファブリックによる子供用雑貨をデザインしている。ランプシェード、クッション、ブランケット、アクセサリーは、彼女お気に入りの趣味のよいプリント地で作られ、大人にも人気だ。2012年に立ち上げたブランドだが、アメリカのセレクトショップでも売られ始めたそうだ。ブランド名〈マルセル〉は彼女のおじいちゃんの名前、そしてそのおじいちゃんが敬愛したプルーストに由来するもの。
サンマルタン運河は季節によって全く違う顔を見せる。黄色一色の秋空、まれに雪景色の運河も非常に美しいが、夏のそれはまた一転。天気さえよければピクニックをするパリジャンで埋め尽くされ、「祭り」となる。
「気付くと地区の中だけで生活するほ居心地良し。もっと大きなアパルトマンに移りたいとは思うけど、ここを離れることは考えられない!」とセリアさん。(久)
●Artazart Design Bookstore
写真、現代美術やデザインらビジュアル本中心にセレクト。セリアさんはよく午後にフラッと寄っては新たなアーティストをチェック。友だちへのプレゼント探しにも非常に重宝。自分用にはモレスキンの手帳をここで購入することが多い。
月〜金10h30-19h30、土11h-/日14h-20h。
83 quai de Valmy 10e 01.4040.2400
●Les Enfants Perdus
友だちや彼と通うお気に入りレストラン。わりとトラディショナルだが洗練された料理。きちんと作っていて冷凍物なんか使わない。コストパフォーマンスの良い店。ボルドーワインの選択豊富。
月〜土12h-15h/19h30-23h、日12-16h。
9 rue des Récollets 10e 01 8129 4826
●Du Pain et des Idées
大人気のパン屋。ヴィエノワズリーはどれもとびきりの美味しさ。セリアさんのお気に入りはエスカルゴ・シトロン・ヌガー2.4€。毎朝、超明るい店員アネットさんの元気も一緒にもらう。夕方はPain des Amis を買って夕飯に。
6h45〜20h。土日休。
34 rue Yves Toudic 10e 01.4240.4452
プリント布地と色使いのセンスの良さが特徴。
セリアさんの作品は marcelparis.fr で買うことができる。
アメリカではエッフェル塔をモチーフにした小物が人気。