9月末に発表される来年度予算案の内容をめぐって議論がかまびすしい。9月5日付ルモンド紙によると、前政権が行った所得税課税率の凍結を継続すると予算省が決めたらしい。オランド大統領はキャンペーン中にこの凍結を見直すと発言したはずだったのに…。
この凍結は2011年にフィヨン内閣が決めた措置で、各課税率の所得の上限と下限をインフレ率に応じて配慮することをやめる。つまり、従来はインフレ分の所得増によって課税額が上がらなかった世帯にも増税される措置なのだ。これによって、2012年度ではそれまで非課税だった20万世帯が新たに課税されることになった。しかも、大統領が公約した、高額所得者の年収100万ユーロ以上を超える分に対する税率75%は、就労収入だけが対象になるという報道も6日にあった。そうなると、75%課税は大企業の社長クラスにしか適用されない。経済・予算省は「まだ決定していない」とコメントしているが、低所得世帯を保護し、高所得世帯に課税するというオランド大統領の公約はどうなったのだろうかという気がする。(し)