「レ・ゴブラン」は13区の南、四方を大通りに区切られたブロック、パリで最も古い道のひとつで古代ローマ時代より存在し常に活気のあるムフタール街にも隣接する地域である。
フローラルアーティストそしてスタイリストであるアニーさんのアトリエ兼住まいはレ・ゴブランのジャンヌ・ダルク像の裏にある。典型的なパリのオスマン様式アパルトマンには彼女のシックでお洒落で洗練された世界が展開する。
アンチークな金ぱく額の鏡、クリスタルガラス、フェザー、レースらがマットな黒をベースにした廊下にレイアウトされ、訪れるものを瞬時にして別世界に招いてくれる。そしてサロンは純白ベース。天井を縁取る19世紀のレリーフや暖炉の飾りも全て白一色に塗られている。アニーさんのセレクトの螺鈿(らでん)細工が施された黒漆塗りのキャビネットやシャンデリア、マネキンに着せられたサーモンピンクのサテンドレスらが飾られ、自然光のベールに包まれるのが心地よい。
アニーさんはアートフローラル界の革命児クリスチャン・トルチュのアトリエで長年仕事をしてきた。トルチュの元で培った花と植物に対する抜群のセンスに女性らしい優しさが加わり、更なる魅力となる。現在アニーさんは彼女のアトリエで少人数向けアートフローラル教室を開いているが、裁縫テクニックも取り入れたアクセサリーとのアレンジも披露。パステルのマカロンにアフターヌーンティー、女性ボーカルのスタンダードジャズを聴きながらブーケをつくったら、メロメロにパリジェンヌになった気分になるだろう。
レ・ゴブラン地域を気に入っている理由としては「左岸であること、5区、6区と近いこと、リュクサンブール庭園に近いこと、どこにでも歩いて行けること…。交通手段としては断然バスが好きなんだけれど、セーヌ川沿いを走る24番線が特に気に入っているわ」とアニーさんは言う。(久)
Photos : Fabrice Besse (ショップ以外)
日本語訳付のフローラル講座参加には agent-de-fleuriste.comのAnnie Uzureauへ。