パリの老舗ホテル〈リッツ〉は10月18日、2012年夏から2年3カ月にわたる改装工事のために、その間、営業を停止すると発表した。改装の必要性を認めながらも決定を先延ばしにしていたオーナーのモハメッド・アリ・アルファイド氏が決断した背景には、2011年5月に新設された最高級の格付け「パラス」の選にリッツが漏れたことがある。「パラス」は5ツ星よりさらに上で、パリでは〈ブリストル〉、〈ル・ムーリス〉など4軒が認定された。
〈リッツ〉の最近の改装は1979年にさかのぼり、最新の設備やサービスを誇る他の高級ホテルに比べると設備が老朽化しているとの批判もあるようだ。2010年にロンドンのハロッズを売却してアルファイド氏は改装資金も確保した。工事が順調に進めば、2014年のクリスマス前にはリニューアルオープンの予定だ。ただし、この工事によって従業員500人のうち約470人が解雇される見込みで、労組は営業停止期間中の失業措置と再オープン後の再雇用保証を要求している。経営者側は解雇する従業員の再就職斡旋を提案しており、話合いは難航しそうだ。(し)