サン・ドニで遺跡発掘— 町の歴史を 市民が共有する場所。

大きな穴がいくつもあいている。
大きな穴がいくつもあいている。
 歴代フランス王が眠るサン・ドニ大聖堂。この町のランドマークから徒歩3分のところに、イル・ド・フランスでも珍しい遺跡発掘場「イロ・シーニュ」がある。
 ガイドさんの後につき工事現場のような鉄製の足場をくぐると、眼前に鉛色の土の広場が広がっていた。総面積430m2。まだ朝10時だが、すでに大学生やボランティアの市民が腰をおろし、手袋をはめた手でスコップを持ち、掘り起こし作業に従事中だった。「イロ・シーニュ」は毎年夏期に3週間の発掘ボランティアを募集し、今年で作業も3年目。ちょうど目の前にいた南米出身と思われる女性に話しかけてみる。「私の祖国メキシコでは遺跡発掘が盛んだけど、自分ができる機会はなかった。フランスに移住してから発掘が体験できて嬉しいわ」とのこと。
 パリ北郊外に位置するサン・ドニ市。人口に占める外国人率は約3割。移民が多く住む町だから、ともすれば生活文化や価値観の違いが表面化しやすい地域ともいえる。だが広く門戸を開放した遺跡発掘場の存在は、「町の歴史を市民の皆が共有している」という意識を芽生えさせるもの。だからサン・ドニ市は、平和な共同体主義思想を後押しする場所として、「イロ・シーニュ」をとりわけ重要視している。
 では実際に発掘で何が見つかるのだろう? ここは9世紀頃からバイキングの襲来があり、修道士たちは町を守るため溝を掘り水路を造ったが、12世紀頃には脅威もなくなり、徐々に水路は埋められた。この時、土以外にも多くの生活廃棄物も使って埋められたため、現在掘り起こすと中世の生活用品がざくざく出てくるのだという。敷地内の見晴し台には、掘り起こされた品々の写真が飾られる。発掘の定番、陶器類はもちろんのこと、子供用の革靴やボール、木製の櫛(くし)があるのはなんだか微笑ましい。千年前のサン・ドニの町でも、子供たちはボールを夢中で追いかけ、女性たちはお洒落を目一杯楽しんでいたのだろう。(瑞)
http://www.franciade.fr/
L’Ilôt cygne
4 rue du Cygne 93200 Saint-Denis
一般公開は10月28日迄の火
14h〜16hまで
(14h30 ガイド付き見学あり)
「さっきカタツムリの殻みたいのを見つけた。一応とっておくの」

「さっきカタツムリの殻みたいのを見つけた。一応とっておくの」

友だちと参加しても楽しそう。

友だちと参加しても楽しそう。

専門家によるレクチャーも。「日本人女性も発掘に参加したよ」

専門家によるレクチャーも。「日本人女性も発掘に参加したよ」

サン・ドニ大聖堂

サン・ドニ大聖堂


 

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