人間の影の部分があらわになる犯罪に、ついつい引かれてしまうのはボクだけではないだろう。犯罪をテーマにしたテレビドラマもいいけれど、実際の犯罪の方が虚をしのぐドラマ性を持っていることが多い。France 2の『Faites entrer l’accusé (容疑者を登場させよ)』は、のぞき趣味も働いてか、日曜の遅い時間帯にもかかわらず、かなりの視聴率を誇る。司会のクリストフ・オンダレットもなかなかの人気。
取り上げられる犯罪(者)はさまざま。みごとな手際で強盗を実行し、脱走と変装の名人で世紀の犯罪者といわれたジャック・メリーヌ、家族紛争が絡み、まだ未解決の1984年におこったグレゴリー少年殺害事件、1984年から1992年にかけて行き当たりばったりに少なくとも9人は殺害したフランシス・オルム、1996年にカーニバルの面をかぶってスーパーに押し入った「ルーベのギャング団」、強盗の罪で35年服役した後2004年に釈放されたが、11歳と14歳の少女を殺害した「気違いピエロ」ことピエール・ボダン…。
オンダレットは、私立探偵フィリップ・マーロウさながらに、事件を担当した刑事、予審判事、検察官、あるいは被害者や容疑者の家族や友人たちにインタビューしながら、事件に新しい光を与えようと試みる。最近の圧巻は、ダニー・ルプランス。この番組を観た人はルプランス無罪の印象を強く持ったに違いない。ところが、ルプランスは再審を拒まれ、再服役の身になった。(真)