映画化されたゾラの作品。
「自然主義文学」の難しい作家として避けられることもあるゾラの作品だが、実はストーリー性が豊かで入っていきやすく映画化された作品が多い。1938年の作品『La Bête humaine獣人』は、ゾラの原作と主人公の鉄道員に思い入れのあったジャン・ギャバンが製作を思い立ち、プロデューサーと一緒に、名監督ジャン・ルノワールに企画を提案。小説を読んだルノワールはその内容に感動し快諾。なんと12日間で脚本を仕上げたという。汽車で働く労働者たち、ブルジョワ社会の偽善、愛情や友情、そして人に巣食う病について描くこの映画は、最初から最後まで飽きさせない。
他にも、やはりジャン・ルノワールが監督した『Nana ナナ』(1926)、マルセル・レルビエ監督の『L’Argent 金(かね)』(1929)、ルネ・クレマン監督の『Gervaise (『L’Assomoir居酒屋』の主人公の名前)』(1956)などが名高い。『Germinal』も何度か映画化されたが、最近では1993年にクロード・ベリ監督が歌手のルノーを主人公にして監督したものがヒットしている。
ゾラの家には、ゾラ原作映画のポスターが並ぶ。写真はジュリアン・デュヴィヴィエ監督の『ごった煮』。主演はジェラール・フィリップ。