アイスランドの火山噴火によって4月15日頃から約6日間、欧州発着の航空便が欠航。その経済への影響は今回は大事に至らなかったとされるが、もしこうした事態が数週間あるいは数カ月続いたらと思うとぞっとする。まず航空業界は1日当たり1億4800万ユーロの損失。それに伴い、旅行会社、ホテルなど、欧州連合(EU)域内総生産の5%を占める観光業界の受ける損失も甚大だ。商品輸送については、空輸は量では全体の5%にすぎないが、価格では40%に相当する。今回の噴火で打撃を受けたケニア産の欧州向け生花のほか、生鮮食料品(日本向けの寿司ネタなど)、衣料品(インドや中国からの欧州向け輸出)、高級ブランド、電機・電子部品・製品などの航空貨物が流通しなくなる。カナダTDバンクの試算によると、欧州の空港閉鎖が数カ月続くと、2010年で1.7%と予想されているEU域内経済成長率は0.7~1.2%に下落するという。今回、ユーロスターが増便も含めて満席になるなど、欧州域内の陸上輸送のように恩恵をこうむる業界もあるだろうが、全体的には損失の方が大きく上回ることは確実だろう。(し)