イスラーム法に則って処理されたハラール肉しか使用しないハンバーガー店「クイック」をルーベ市市長が2月に提訴した件がメディアを賑わせたが(26日訴え取下げ)、3月1日付ルモンド紙によると、フランスのハラール市場は年15%という大変な成長を続けているようだ。2009年のハラール商品総売上高は45億ユーロ、2010年は55億ユーロが見込まれており、25億ユーロ規模のオーガニック(BIO)市場をはるかに上回っている。ハラール商品は以前から存在していたが、近年、とくに2009年のラマダン(イスラーム教徒の断食月)のころからテレビのCMで広く浸透したという。今や街角のスーパーやハイパーにハラールコーナーがあるのは珍しくない。というのも、ハラール専門食品会社に加えて、ネスレやフルリ・ミションといった普通の食品メーカーやカジノなど流通業者もハラール市場に参入しているからだ。潜在的には122億ユーロ規模といわれる仏ハラール市場。クイックのハラール導入が非イスラーム教徒を「差別」しようというのではなく、売上増を見込んだマーケティング戦略であることは明らかだ。(し)