今のところ周囲で新型インフルエンザにかかった人を見かけない。ミラに学校の様子を聞いても「ずる休みのマルジョリちゃんしか休まない」らしく、パリ15区の子供はわりにピンピンしているようだ。先月から新型用のワクチン接種が学童まで拡大したが、周りは懐疑派ばかり。日本にいる子持ちの友人は接種に積極的なのに、この温度差はいったい何だろう。日本人は他人と同じでないと不安に陥りやすいが、フランス人は疑い深く、自由を尊重するお国柄だからとか、そんな考えも頭をよぎる。かく言う私もジルも、接種にはかなり懐疑派だ。ワクチンの疑わしい成分や製薬会社の陰謀説に必要以上に振り回されているのか自分でもよくわからない。何が大事な情報であるかを見極めるのになんと大変な時代を生かされているのか。そんなことを思うと途方にくれてしまう。
さてフランスはちまたの新型インフルに対する恐怖心がやや薄めな気がするとはいえ、実際の死者数は日本と大差ない。接種希望者も増加中だ。そろそろミラに相談しておくころかと思い「すごく流行ったら注射しようか」と聞くと、猛烈な勢いで拒否された。以前ミラにケーキでつって注射させた(654号参照)のを根にもっていたのだ。「我慢して注射やったのに薄いケーキくれてズルかった!」と怒り爆発。食べ物の恨みは新型インフル以上に世界共通語だ。(瑞)