6月の両院合同国会でサルコジ大統領が打ち出した大規模な国債発行の構想は大きな議論を巻き起こしたが、来年初頭の法制化に向けて近く政府方針が決まりそうだ。
この大国債構想は、フランス経済発展のために優先課題とされる分野の研究開発・インフラ構築に、国が大規模な投資をするために、新たな国債を発行するというもの。その方向性を決定するためにジュペ、ロカール両前首相をトップとする委員会が設置され、近く報告書が政府に提出される。とくに第4世代原子力システム、電気自動車、遠隔操作コンピュータといった分野に長期的な援助が行われるとみられている。その規模は、200億~300億ユーロに加えて金融機関からの返済予定分130億ユーロということだが、経済危機のあおりで国庫の赤字が増大するなか、大規模な国債発行には与党内でも反対の声が多い。11月6日には今年度予算の赤字が昨年の2倍、1258億ユーロに達したと発表されたばかりだ。仏経済(あるいは国家)の将来をかけて惜しみなく投資するか、国家財政の現状を考慮してある程度に抑えるか、難しい選択を迫られている。(し)