パリの裏名物のひとつに、地下鉄のコントロール隊がいる。彼らはRATPの制服に身を包むが、私服の人もいる。地下の網の目を縦横無尽に行動し、切符を持たない人を情け容赦なく捕まえる。たいていは通路や改札を抜けた後の死角スペースに立っているので、心臓に大変悪い。
さて、5歳のミラと地下鉄で移動する時は、コントロールが気にかかる。なぜなら決まりでは4歳から切符を買わなければならないのだが、「今日はいいか」と、ケチって彼女の切符を買わない時が多いからだ。こんなケチ女は私だけかと思っていたら、周りのママ友も、「日本では小学生からだから払わない」とか「7歳位の子供までは大目に見てくれる」とか、皆相当図々しい。そして実際、コントロールに遭遇しても、ミラの分の切符を求められることもない。それでジルにミラといる時はどうしているのか尋ねてみると、「買うわけないじゃないか!」とふんぞり返っている。彼の場合は、以前本人が切符を持ってなかったのに、コントロール隊を得意の詭弁で説得し、見事罰金を免れたことさえある強者だ。聞く相手を間違えたか。
しかしこの前、ミラに「コントロールの人には3歳半って答えて」と頼んだら、「ママ、うそはダメ!」と叱られた。母の威厳は落ちる一方だから、そろそろ切符を買うしかなさそうだ。皆さんはちゃんと子供の切符は買いましょう。(瑞)