フランスには「コロニー・ド・バカンス」と呼ばれる子供の林間学校が盛んだ。長期の休暇時期に、市や民間団体が「乗馬」、「スキー」などさまざまなテーマの合宿を企画してくれる。友だちや兄弟と参加してもよいし、一人参加でもよい。親は参加しないので、多くの子にとって、初めて親元を離れる体験になることが多い。私は「サーカス体験」ができるコロニーが気になり、ミラにすすめてみた。10日も親元を離れるのは5歳には長いかとは思ったが、何度聞いても本人が「大丈夫!」と言うので、ジルを説得し行かせてみた。
ミラは一人参加だったが、行きの列車で隣に座った一歳上のシビラと仲良くなり、すぐに「シビラと友だちになった。ビズ」と書いた手紙を送ってきた。さてサーカス合宿の中身だが、玉乗りや綱渡りなどを練習し、最後に合同スペクタクルを皆で発表するというもの。他にもプール、キャンプファイヤー、ハイキングと、イベントは盛りだくさん。とはいえ夜は寂しかったようで、ミラがベッドで泣いてたら、シビラが「私たちで頑張ろう」と励ましてくれたとか。
10日後東駅のホームに迎えに行くと、額と背中にカサブタを付けたミラがいた。でも本人は「転んだだけ」と平然としてる。そして私にペンダントのお土産をくれた。ミラに自分のものが買えるよう小遣いを渡していたのだが、自分のものを買わずに私に買ってくれたのだった。(瑞)