引越し時期に狙いを定めて、捨てられたオモシロ家具や雑貨を集めるのが趣味のジュリーさんは、とうとう「骨董屋」のあだ名がついてしまった。彼女はヨガにも興味があって、今年の夏はインドはヨガの聖地で過ごしたという。そんな彼女からサクレクール寺院が目の前のアパートに引越したと連絡が入ったので早速見に行くことに。生まれも育ちも10区という生粋のパリジェンヌであるジュリーさんは、一人暮らしを始めてからも10区近辺に運があるようで、急に海外駐在が決まった友人から受け継いだこのアパートももちろん10区だ。
7階エレベーターなし、がらくただらけ(失礼!)の前のアパートでは、うっかり飾り椅子に座ってしまい傑作を壊してしまったことがあるので、息を切らしながらも心の準備をする。しかし新しいアパートは意外や意外、とてもすっきりしていた。きれい好きな彼と同棲するにあたり、なんとあらゆるがらくたの処理を命じられたらしい。壁中を覆っていたおんぼろポスターや看板も、黄色くペイントされた何台もの壊れたテレビも、底がないゴミ箱も、みんないなくなっていた。ちょっとノスタルジックになる私に、彼女はキッチンを見てみろと言う。黄色く雑にペイントされたタイルや棚、「私の乳牛ちゃん」と呼んでるウシ柄模様がついた拾った冷蔵庫、シュガーポット、本、ティーポット、旅行カバン、計り、椅子…。私も大好きな往年の「スターたち」がきれいに整頓されているがそれぞれの存在をしっかり主張していた。(ミ)