国立統計経済研究所INSEEが6月5日に発表したところによると、2008年第1四半期の失業率は前年同期比で1.2ポイント減少し、7.2%(仏本土)。1980年初め並みの低水準だ。失業減、購買力向上を目標に掲げる政府は、施策の成果と鼻を高くしているようだ。
ところが、職業安定所ANPEに登録している求職者数は今年第1四半期の間に7700人増えている。INSEEの数字は、国際労働機関ILOの失業者定義に基づいているため、該当期間に全く仕事をしなかった求職者のみが「失業者」とされる。ANPEでは月78時間以内なら仕事をしている求職者も失業者に含まれる。このように、完全に失業してはいないが、不安定な仕事に就いている「求職者」も多い。また、諸事情により現時点では求職活動をしていなくとも、仕事を求めている人は75万3000人もおり、彼らを含めると、失業者数はINSEEの200万人から263万人に膨れ上がる。物価上昇によって家計の苦しくなった庶民や「ワーキングプア」にとっては、今回の失業率低下は決して諸手を挙げて喜べるニュースではない。(し)