今年1月にソシエテ・ジェネラル(SG)のトレーダーが49億ユーロもの損失を出したことが発覚し今も捜査が続けられているが、SGはこの件に関して5月23日、原因解明のための内部調査報告書を公表した。それによると、弱冠31歳のトレーダー、ジェローム・ケルヴィエル氏の複数の直属の上司の監督不行届きが厳しく批判され、同氏の補佐トレーダーらの内部共犯の可能性も示唆されている。トレーダーが許可された上限を大きく上回る取引を再三行った際に、情報処理上の〈警報〉が74回も発せられたらしいが、直属の上司はそれに対応せず、有効な監視システムがなかったことも指摘されている。
2月の中間報告ではケルヴィエル氏の巧妙な隠蔽工作ばかりがクローズアップされていたが、最終報告ではトレーダーの暴走に歯止めをかけられなかったSGの監視体制のぜい弱さや企業風土が強調されている。500億ユーロにも上る巨額のお金をゲーム感覚で動かすトレーダーのモラルにも問題があるが、それ以上に、その暴走を阻止できない大銀行のずさんな管理の実態を見せつけられたようだ。(し)