英仏海峡トンネルの運営会社であるユーロトンネル社が2007年度決算で、開通以来初の黒字にこぎ着けた。自動車、トラック、ユーロスターの通行量がそれぞれ6%、9%、5%と増えて、売上高7億7500万ユーロ(前年比6%増)に対し営業利益4億3900万ユーロ、純益はわずかに100万ユーロというものの、開通以来の赤字に苦しみ、2006年8月にはパリ商業裁判所から経営破たんを宣告された同社の再生を感じさせる。この黒字転換は、2007年春に債権者との交渉によって92億ユーロに上る負債を半分の41億ユーロに減らしたことが大きい。この合意が低所得者向け住宅融資(サブプライムローン)による米金融危機の直前に成立したことは幸運だった。
振り返ってみれば、20世紀最大の鉄道プロジェクトといわれ、1994年に鳴り物入りで開通したものの、建設費の高騰で莫大な債務を抱え、夢を買った多くの個人投資家は財産を失った。赤字の代名詞のようなユーロトンネル社が今後は収益を上げていくのか。失った14年間を取り戻すには長い時間がかかりそうだ。(し)