アルツハイマー病との闘い。

 今日、フランスでは75歳以上の高齢者の18%にあたる約80万人(3分の2は女性)がアルツハイマー病(老年痴呆症)で苦しんでおり、毎年そのうちの約6万5000人が死亡している。年間約16万5000人が老年痴呆症にかかり、高齢人口の増加率からすると、2024年にはその2倍の患者(65歳1.5%、80歳以上30%)がアルツハイマー症候群を膨らませていくことになる。
 アルツハイマー病は、初老期に始まる記憶力の減退から知能低下、感情の鈍麻、自制不全、被害妄想、痴呆、最後に全身衰弱で死亡するという。ドゥスト=ブラジ厚生相が、「アルツハイマー病は30メートルもの大波に襲われるのと同じなのに、だれもそれが近づいてくるのが見えない」と述べているが、夫婦のどちらかがアルツハイマー病にかかった時、患者以上に精神的肉体的に、そして経済的に苦しむのは、介護にあたる夫または妻、家族ではないだろうか。
 ノヴァルティス・ラボラトリーの調査によると、患者の70%は自宅で療養しており、妻、夫、あるいは家族の一人が1日平均6時間以上をその介護に費やしている。そしてほとんどがなんら経済的援助も受けず、患者の病状悪化に付き添う生活を余儀なくされている。連合いを世話する者の36%は日常的に睡眠薬を、34%は精神安定剤の助けを借りて耐え忍んでいるという。
 患者とその家族のこのような過酷な現実に対し、厚生相は9月13日、「現代社会の重大な政治的課題の一つ」としてアルツハイマー病対策を発表した。
 まずアルツハイマー病を特定疾患(ALD)と認定し、治療費を100%払い戻す。早期発見のため70歳から認知機能検査を実施し、現在ある健診センター232カ所をさらに100カ所増設。在宅患者のためのデイサービス(日帰り介護)の収容力(現在2378人)を、2007年までに1万5500人に増やし、わずかでも家族に休息を促す方向に。高齢者施設でのアルツハイマー患者の看護拡充のため補助金8800万ユーロの支給など。これらの対策は、患者の「人間としての尊厳」を守るための第一歩と、同厚生相は強調する。
 30年前は高齢者施設に入る者の年齢は 65-70歳だったのが、今日の平均年齢は87歳。施設に入らず自宅で余生を終える者も含め、アルツハイマー患者に残された時間と空間をどれほど生きやすくしてやれるのか…患者以上に家族に、付き添う者に、老いと死に真摯に向き合うこととその勇気が強いられているようだ。(君)


D i c o
SDF(男性・女性名詞)

 SDFは、sans domicile fixeを略した名詞でホームレスのこと。男性ならun SDF、女性ならune SDFとなる。以前は軽蔑的なニュアンスも込められて “clochard” あるいは “mendiant” と呼ばれていた。
 フランス全国でどのくらいSDFがいるのか、はっきりした数字を出すのはむずかしいが、20万人から30万人と見られている。ほとんどが、パリを中心に大都市に集中。最近は20代から30代のSDFの姿も目立ってきている。そのうちの10%は、ふつうの生活に戻ることが困難とされている。アル中や精神障害に苦しんでいる人も多い。毎年冬になると、何人かのSDFが凍死するという悲劇が続いている。(真)

 

 


 

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