アイルランドの小村でハリウッド映画の撮影が進んでいる。主人公は、エキストラとして駆り出された二人の男。若い方は映画監督志望。ビデオクラブの事業に失敗し、放浪の旅の途中に通りかかった村でエキストラに志願した。年長の男はこの村の出身で、一攫千金を夢見てアメリカへ旅立ったものの、夢破れ村へと後戻りしたばかりで撮影に参加する。彼らにとってアメリカ、ハリウッドは夢の象徴、銀幕のスターは雲の上の存在に等しい。村は活気を帯びる。映画監督、その助手たち、ジョン・フォードの『静かなる男』でもエキストラだったという村の長老、麻薬中毒の青年、スター女優にそのボディーガードなど、さまざまな人物が入り混じり、撮影は進んでいく。 たくさんの登場人物たちは、たった二人の役者(エリック・メテイエールとクリスチャン・ペレイラ)によって演じられる。一瞬のうちに別の人物に変身、各人物を演じ分ける彼らの才能には脱帽。そして大きな扉と芝生だけ、という最小限の舞台セットが、パブの中、教会の中、牛が草をはむ高原、廃墟と化した城へと変身し、そこで展開するさまざまな人間ドラマに私たちは出会う。 麻薬中毒の青年は、絶望のあまり「ポケットに石を一杯詰め込んで」(この芝居のタイトル)湖へ身を投げる。その死を悲観しつつも、主人公二人は、その青年を主人公にした映画を撮影しようと思い立つ。ところがハリウッドの映画監督は自分の作品で手一杯、二人の提案には聞く耳を持たない。 人生七転び八起き、くじけず夢と希望を抱いて生きよう! ラストシーンの主人公二人は美しく輝いている。原作はアイルランド人劇作家マリー・ジョーンズ、演出はステファン・メルデグ。(海) |
火-土21h/土マチネ17h。13~32€ La Bruyere : 5 rue la Bruyere 9e 01.4874.7699 |
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Dance | |
●J.-C. GALLOTTA “Trois geneations” 一つの振付(所作、作品)が、演じる側の年齢によってどう変化するのか? 連続した三つの30分ずつの作品が、それぞれ7、8歳の子どもや、20、30代のダンサー、現役引退(?)したシニアダンサーに振付される。ジャン=クロード・ガロッタは「それぞれの身体上の可能、不可能さが一つの振付をどう変えるのか面白い」と語る。そして精神的なもの、「例えばデュオでの愛情表現を子どもはどう演じるか」。70年代末からフランスヌーヴェルダンスを代表する一人として創り続けてきた彼の、作品に流れる物語性を大事に、少年の日の残酷なまでの無垢さを垣間見るようなエッセンスの集まったこの作品の変容を観たい。(珠) |
21日と22日/20h30、23日/15h 11.50€~25€ Theatre national de Chaillot 1 place du Trocadero 16e 01.5365.3000 |
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