メナード化粧品のフランス事務所所長を務める鳥海葉子さんは、働く女性の憧れそのままのような人だ。今年3月にオペラ座前にオープンしたパリ路面店を立ち上げただけでなく、デンマークやロシアでも現地法人の立ち上げに携わってきた。「長い間頑張れば、必ず得るものがあるものです」と、自身を振り返る。
メナードへの入社のきっかけは、当時英語が好きでアメリカの滞在経験もあり、英語を活かした業務を掲げる海外事業部での求人に興味を持ったこと。英語ができると、ビジネスでは大きな力になる。どの国へ行っても流暢に英語を話す人がいるので便利だそうだ。鳥海さんのように、フランスというよりヨーロッパの各国をまとめて担当しているような人の言葉には説得力がある。
パリでも現地スタッフとのコミュニケーションに英語を用いるのかと問うと、「フランス語です」との返事が返ってきた。「フランス人の本音を聞きたかったら、フランス語を話さないとダメ」との助言もあり、「動詞の活用がとても難しい」けれど、できるだけフランス語を話すように努めているそうだ。
化粧品というのは、女性に幸福感を与えるもの。自身もCIDESCO(シデスコ)というエステティシャンの国際ディプロームを持ち、「人をきれいにしてあげるのも好き」と語る鳥海さん。
赴任以来、日系の現地法人の代表者として集う機会も多いが、出席者はほとんどが男性。メナードでも、女性の管理職の派遣は鳥海さんが初めてだそう。パリに来て1年と3カ月があっという間に過ぎた。海外駐在は通常3年の任務が課されるが、3年で帰国する人は少ないそうだ。じっくり構えて「ここにいる間のことが、今後の財産になるようにしたい」
9月にはパリ店のグランド・オープンも控え、来月はイギリスへの出張も。われらが憧れの女性の唯一の悩みは、なかなかフランスのリズムでのんびり出来ないことかもしれない。(里)