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以前、サン・マルタン運河の両岸には、運河の水を利用した陶器工場、なめし革工場、製紙工場などが数多くあったという。その名残の一つが、ジェマップ河岸108-110番地にある、ボルト、ナットなどを作っていたプレオー工場跡だ。最近、パリ市はこの建物の取り壊しを許可し、今秋から7階建ての高級アパート建設工事が始まることになっている。 「7階建ての大きな建物では、これまでのような眺望が失われ、運河の雰囲気がそこなわれる」と、この建物の取り壊しに対して、緑の党や「運河からベルヴィルまで」などの市民団体が反対運動をくり広げ、ドラノエ市長に再考を求めている。両岸が歩行者天国になって多数のパリ市民が集まってくる毎日曜日、この建物の前で反対ビラが配られ、討論の輪ができる。 「低家賃住宅がこの計画には含まれていないので、ふつうの市民には手が出ない家賃になり、郊外へと追いやられることになってしまう」 パリのガイドブックには、サン・マルタン運河には “庶民的な populaire ” という形容詞がつくことが多いけれど、少しずつ庶民的でなくなってきているのが実状のようだ。(真) *なお次号はサン・マルタン運河特集です。 |
「運河のほとり、 かな中庭に面したアパート」と宣伝中。 壁には反対派によるグラフィティー。「空気の流れ」と読める。 |