最近開発が進んでいるバルベス界隈。安売り衣料チェーンのタチ本店横には”Virgin Mega Store” が建設中だ。そこから遠くない、閑散とした小さな通りに、まわりの開発に抵抗するかのように、20年前から存続しているライブハウス “Goutte d’Or” がある。古びたドアを開けると、廃虚のような空間に驚くが、奥の薄暗い明かりを目指し、中に入ると別世界が広がる。 78年に、薬剤師や教師など、音楽を趣味とする人たちが練習場所として借りたのが始まりだ。その後パリ在住のアメリカ人トランペット奏者が録音スタジオに変え、プロのミュージシャンのたまり場となる。 6年前からは、職業養成センターで教鞭をとっているパトリックさんが、経営とプログラムをまかされ、平日はジャムセッション、週末はコンサートと、毎晩なにかが企画されている。水曜日のボーカルナイトには、英語でジャズを歌うフランス人たちが集まる。ひとり2~3曲ずつ歌い、まるでカラオケ(といってもバックは生なのでナマオケ)大会のノリ。昼間はスタジオとして使用され、若い音楽家のためのマスターコースなどもおこなわれる。 会員は現在150名。年間200Fの会費をおさめると、平日のジャムセッション(35F)は無料で参加でき、金・土のコンサート(50F)は半額になる。 たしかにバルベスに夜行くのは不安がつきまとう。でもパトリックさんは「財布にさえ気をつければ大丈夫。心配しないで遊びに来てください」と言っている。小銭だけを持って、身軽に行ってみるのがいいのかもしれない。(尚)
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Photo:taiyou photo : Emmanuel Ferrand *Goutte d’or : 10 rue des Islettes |