住宅情報誌で見つけた掘り出し物

不動産屋を通さずに手軽に部屋を探したい人は、毎週木曜日発売の住宅情報誌 “De particulier a particulier” を利用することが多い。不動産に支払う手数料を節約できるし、いろいろな住宅を見学できて物件探しの醍醐味を堪能できる。個人が出す広告の描写を読んでいるだけでも夢が広がるし、アパート探しをしてない人でもそれなりに楽しめてしまう。ただしこれは時間と気持ちに余裕が必要で、即急に良い物件を探している人には向かないと思う。ベンとアニタの二人は、”De particulier a particulier” を利用して一発で素敵な掘り出し物を見つけた数少ないラッキーな例だ。
 メニルモンタンの長い長い坂を登った丘の上にどちらかというと質素な外観の建物がある。そこの中庭に、後から建て増しされた二階建てのアパートの上階が、ベンとアニタの住まい。床面積30m2しかないとは思えない広さは、はしごを登っていくロフトのお陰。ロフトの天窓からも、南西向きの窓からも日光がさんさんと入り込んで、とても明るい。このロフトは天井が低いので、寝室として利用されているけれど、この他にもベンの仕事場兼寝室があって、喧嘩した時なんかは別々に寝たっていいわけだ。ただし、今のところ別々で寝るようなことはまだないみたい。仲がいいのだ。その代わり、ノルマンディーに住むアニタのお母さんが遊びに来た時には、中二階のロフトを使ってもらっている。こんなに機能的なアパートで家賃はたったの3200フラン。めっけもんだ。
 部屋のデコレーションはアニタが受け持ったという。インド出身で7歳のころにノルマンディーに移り住んだ彼女のセンスには、どこか自分のアイデンティティーを追い求める姿勢が感じられる。「僕もエキゾチックな内装は好きだな」とベン。「だけど少しずつ僕の空間を開拓してみるのも悪くないかな」と遠慮がちに言う彼に、「でももうそんなスペース残ってないわよ」とアニタ。二人の雲行きが怪しくなってきたので、今夜は別々の部屋で寝るなんてことにならないといいなと願いつつ、そそくさとおいとましてきた。

(章)

ロフトに通じるはしごの前でベン。恥ずかしがり屋のアニタは残念ながら写真に写っていません。美人なんだけどな。

 

Marché de Menilmontant


 最近のオーベルカンフ界隈の流行のバー進出の波は、メニルモンタンの丘の上の方にも着々と押し寄せているけれど、庶民的な雰囲気と移民の人たちが醸し出すパワーは健在。 
 メニルモンタンでアニタが一番気に入っているのは、メニルモンタン駅とベルビルの間で開かれる朝市に尽きる。あちこちでかかるアラブ語の威勢のいい掛け
声も異国にいるような気分にさせてくれるし、何よりも新鮮な食材が驚くほど安くて感激してしまう。毎週火曜と金曜日の楽しみです。