冬。パメラの夫とセザレオの妻は恋愛関係、つまり浮気関係にある。それぞれの伴侶をとりもどすための策を一緒に練る、という目的でパメラとセザレオは出会い、互いの境遇を慰め合う。何度か合ううちに、真面目で几帳面な英国人女性パメラを、イタリア人のセザレオはラテン人のもつ大仰さと寛容さで包み込み、パメラの凍った心はほぐれていく。 夏。 妻との離婚に耐えられず故国へ帰ろうとしていたセザレオを春から自宅に寄宿させるパメラは、セザレオと共にアルコールに依存する毎日を送っている。そんな中、夫と別れたパメラの唯一の心配事である息子ボビーの独立をめぐり、パメラとセザレオは大討論を交わす。そして秋が訪れて…。 四季を通じて二人の男女間に起きる出来事(フランソワ・ビレルドゥの原作)が、 シンプルで洒落た舞台美術と照明の中 (白黒で統一された上下する壁と左右に滑る床) で描かれていく。 二人の間にあるのは友情?同胞への哀れみ?それとも愛?初老にさしかかったパメラとセザレオの間には互いの弱さを理解した上での優しい愛情が存在している。哀しいけれど楽天的なふたりの姿はアルコールのもつ悲劇性をかき消し、出会いや別れという男女関係の機微を軽やかにコミカルに描き出していく。 愛らしい英国風アクセントを真似るミュリエル・ボワイエと、演出も担当するマルセル・マレシャルは100点満点以上の素晴らしい演技を見せる。心温まるひとときに感謝。(海) *Theatre du Rond-Point : 2bis av. Franklin-Roosevelt 8e 01.4495.9810 12月31日まで。水木金土/20h30 火/19h30 日/15h 80F~180F |
モーツァルトがオペラにしてますます有名になったボーマルシェの戯曲が、現代的な演技の若い役者と伝統的で貴族的な雰囲気を持つベテラン陣との調和の中で軽やかに演じられ、これが不思議といい味を出している。18日まで。 *Theatre Silvia Monfort :01.4531.1096 ● Petites Pieces チェホフの短編戯曲4本が演じられる。 貴族社会の独特な頽廃ぶりをベテラン、モクレールがいつものようにスケッチ風に演出&好演する。 *Theatre du Marais: 01.4278.0353 1931年の万国植民地博覧会で、バリ島の踊りを観たアントナン・アルトーは、踊り手たちの科学的といってもいいような正確で複雑な動きを、さまざまな意味が交差する記号にたとえ、彼の演劇論の出発点にしている。今回は、バリ島の南西部にある二つの村から12人のダンサーと40人の音楽家たちがやってくる。これだけ本格的な公演は久しぶり、ガムラン音楽と踊りの魔術に酔いたい。 17日~22日/20h 30F~170F *Theatre de l’Odeon :Place de l’Odeon 6e 01.4441.3636 |