パリ・シャルルドゴール空港とブルジェ空港の中間にある、欧州有数の穀倉地帯が「開発」の波で消え去ろうとしている。スーパーのオーシャンと中国のワンダグループが提携し、ショッピングセンター、ホテル、屋内スキー場などの娯楽施設、文化施設を備えた巨大複合施設を作ろうとしているからだ。その名も「ヨーロッパシティ(フランス語読みではユーロパシティ)」。空港やパリに来る旅行者を引き込むのが目的で、ディズニーと張り合っているワンダグループは、ディズニーランド・パリより大規模にしたいと考えている。グランパリ計画の一環として、駅も新設される。
建設予定地、ゴネス町の社会党町長は賛成だが、雇用増加、地元がうるおうといった甘い言葉をうのみにしない人たちが反対運動を繰り広げている。問題の一つは、農地を都市化することでイル・ド・フランスの食料自給率がさらに下がり、気候変動による食料不足に対処できなくなることだ。5月26日、ゴネスの農地で反対派が大集会を開き、運動を広げるための対策を話し合った。今年3月、行政裁判所は、予定地にZAC(協議整備地域)を作ることへの認可を「環境への配慮が不十分」として取り消した。ZAC認可は建設前の段階として必要なものだ。しかし、これで計画が中止になったわけではなく、反対派は抵抗の度合いを緩めていない。(羽)