『Everybody Knows』
第71回カンヌ国際映画祭は5月8日、イランのアスガー・ファルハディ監督『Everybody Knows』の上映で開幕した。11日間、21本の作品がパルムドールを争う賞レース。同映画はペネロペ・クルスとハビエル・バルデムという映画界きってのグラマラスなカップルの主演とあって、初日の赤絨毯は華やかなものとなった。
アスガー・ファルハディはとても器用な監督だ。09年『彼女が消えた浜辺』で世界の映画シーンに現れてから、11年の『別離』で早くも米映画アカデミー外国語映画賞等に輝き、つづく『ある過去の行方』(13)ではベレニス・ベジョ、タハール・ラヒムを迎えて舞台をフランスに移し、カンヌでベジョが女優賞を受賞した。イランに帰って撮った『セールスマン』(16)では再び米映画アカデミー外国語映画賞に輝いた。『Everybody Knows』はスペインを舞台にしたスペイン語の映画。もちろん(?)監督はスペイン語が出来ない中での演出だ。
結婚してアルゼンチンに住むラウラ(ペネロペ・C)が妹の結婚式のために、2人の子どもを連れてスペインに帰省してくる。
ここはワイン生産地、幼なじみのパコ(ハビエル・B)はワイン農園を経営している。土地の親族縁者が一堂に会した賑やかな結婚式の祝宴の最中に、ラウラの長女、イレネが姿をくらます。すぐさま身代金、30万ユーロを要求するSMSが入る。警察に言えばイレネの命はない。誘拐事件だ。ここから映画は謎解きとなっていく。犯人はどうやら身近にいるらしい。ラウラの夫がアルゼンチンから駆けつける。結婚式を欠席した彼までが、お金が必要で巧みに仕込んだ虚偽誘拐犯ではと疑われる。身代金集めにパコが奔走する。間もなく、あっと驚く過去が明るみに出る。事件を解く鍵だ。
ここから先はネタバレになるので書けない。観てのお楽しみ。ただ、筆者はハビエル・バルデムにえらく感動したと言っておく。彼に男優賞受賞をあげたかった!(吉)