第71回カンヌ映画祭だより⑤
是枝監督受賞!でカンヌ閉幕。

パルムドール賞のトロフィーを持ち、記者に囲まれる是枝監督。

 日本映画、ついにやりました。カンヌ映画祭の最高賞パルムドールに、是枝裕和監督の『万引き家族』が選ばれました。

 祖母の年金と、家族ぐるみの万引きで生き延びる一家を描いた作品で、現地記者による下馬評も、公式上映直後から非常に高かった一本。邦画としては、1997年の今村昌平監督『うなぎ』以来、21ぶりの快挙となります。

 受賞セレモニーの壇上では、いつも平常心に見える是枝監督も、今回ばかりは緊張の面持ち。「さすがに足が震えています。この場にいられることが幸せ」と前置きした上で、「この映画祭に参加すると、いつも思いますが、勇気をもらいます。映画を作り続ける勇気をもらいます。そして、何だか対立している人と人、隔てられている世界と世界を、映画がつなぐ力を持つのではないかという希望を感じます」と噛みしめるように語りました。

パルムドール受賞後の会見。

 また、この賞を一足先に日本に戻ったスタッフとキャスト、今年、コンペティションに選ばれながらも政治的な理由で映画祭に来られなかったイランのジャファール・パナヒとロシアのキリル・セレブレンニコフの両監督、そしてこれから映画を目指す若い監督と分かち合いたいと付け加えました。

是枝監督にとってカンヌは7度目、コンペティション部門5回目の出品。今回の最高賞パルムドール受賞で、名実ともに世界の巨匠となりました。

受賞後に、大勢の記者にマイクを向けられた監督は、「重いんですよ」と、パルムドールのトロフィーを横に置く場面も。きっとカンヌの歴史の重みもずっしり加わっていたはずです。この輝かしい受賞は、今後の日本映画に対して、どんな影響を与えてくれるのでしょうか。

さあ、これで12日間にわたる長く短かい華やかな映画の祭典も幕を下ろします。

明日は自分も列車に揺られ、パリの地味な日常に戻ることになります。(瑞)