リシュリュー枢機卿とルイ14世の悩み 2009-07-01 ノルマンディーの作家と食 他 0 食卓用ナイフの先はなぜ丸いのか? 子供が怪我しないよう? いいえ、子供が大人と同じテーブルに並ぶようになったのは最近のこと。理由は、ナイフを爪楊枝代わりに使う貴族たちにうんざりしたリシュリュー枢機卿(すうききょう)が刃物業者に、先端に丸みを付けるよう命令したため。そしてルイ14 [...]
ピンチを救ったフリットとマドレーヌ 2009-06-15 ノルマンディーの作家と食 他 0 「フレンチフライ」とも呼ばれるフリット。フランスの産物のような顔をしていても発祥はベルギー。ナミュールという町では毎年、小魚のフライを振る舞う伝統行事があった。1791年、異常な寒さに見舞われたムーズ川が凍てつき、漁ができない。さぁ困った。そこで主催者の1人が提案。ジャガイモを [...]
バルザックの料理帖–12 2009-04-15 ノルマンディーの作家と食 他 0 約90篇の小説からなる『人間喜劇』は、19世紀のフランス社会を再現する目的で書かれている。すべての作品は「私生活」、「政治」、「軍隊」、「田園」などに分類され、その一つ一つは、まるで1篇の大作を構成する果てしのない章のようにも思える。そんな「章」の中には「地方生活」、「パリ生活 [...]
バルザックの料理帖–11 2009-03-16 ノルマンディーの作家と食 他 0 バルザックが描く食の風景には、快楽と隣り合わせの悪が描かれていることが多い。「暴食」は「傲慢」、「嫉妬」、「憤怒」、「怠惰」、「強欲」、「色欲」と並びキリスト教の七つの大罪の一つだが、そのことは、食いしん坊が主人公の『従弟ポンス』に切々と語られている。「グルメ小説」と呼ばれるこ [...]
バルザックの料理帖–10 2009-02-16 ノルマンディーの作家と食 他 0 バルザックによれば、シャンパンは会食者の「活気づけ」「頭を上げ」「目を輝かせ」「笑いを誘い」「会話を弾ませ」、しかも「思い出をクリアに」してくれるらしい。お祭り騒ぎが好きな作家のこと、脱稿の後に出かけたレストランで、好物の牡蠣を平らげながらシャンパンを飲み、陶酔しながら作品の将 [...]
バルザックの料理帖–9 2009-01-15 ノルマンディーの作家と食 他 0 前回はレストランの食事風景について紹介したけれど、そんな高級レストランでご馳走にありつけない男の運命を描いたのが『従弟ポンス』。ナポレオンが権力を握っていた19世紀初頭に音楽家としての頂点を極めた主人公ポンスは、裕福な家庭に招かれては贅沢な晩餐にありつき、すっかり美食のとりこに [...]
バルザックの料理帖–8 2008-12-15 ノルマンディーの作家と食 他 0 バルザックの小説には〈カトラン・ブルー〉、〈キャフェ・ド・パリ〉、〈キャフェ・アングレ〉など、当時活躍した芸術家や知識人、高級官僚など、社交界の花形が集まったレストランの様子が描かれている。 魚介類料理で有名な〈ロシェ・デュ・カンカル〉は、小説中に何度も登場し、作家自身も好んで [...]
バルザックの料理帖7 2008-11-17 ノルマンディーの作家と食 他 0 バルザックの描くダイナミックな食事の風景には思わずひきつけられるけれど、料理人についてのくだりも見逃せない。『人間喜劇』に収められている中編小説『ガンバラ』には、ユニークなプロの料理人ジャルディアーニが登場する。この料理人は、料理に対する狂おしいばかりの探究心に溢れるばかりに、 [...]
バルザックの料理帖6 2008-10-15 ノルマンディーの作家と食 他 0 バルザックの小説には食の風景が数多く描かれているが、その中でも『従弟ポンス』には食に関するエピソードが散りばめられ、食いしん坊な読者の想像力を刺激してくれる。主人公のポンスが生きたのは、フランス革命後、宮廷に仕えていた料理人たちが街のレストランで活躍し始めて半世紀ほどたった19 [...]
バルザックの料理帖–5 2008-09-15 ノルマンディーの作家と食 他 0 前回、バルザックは前菜として牡蠣を100個平らげたというエピソードを紹介したが、その牡蠣とはベルギーのオステンデ産だった。作家自身が好んだだけでなく、オステンデ産の牡蠣は『幻滅』の主人公、リュシアン・ド・リュバンプレの好物でもあったよう。失恋の傷を癒すべくパリの高級レストラン〈 [...]