4月14日、国民代表の質問に大統領が答える国営TVの特別番組で、2017年大統領選挙に立候補するか否かを年末に表明するとオランド大統領は発言した。
全左派政党から統一候補を予備選挙で決めるべきという考えが年頭に浮上して以来、エコロジストは賛成、現大統領不出馬という条件付きで共産党も賛成、左翼戦線は反対し、社会党はもめた末に、12月初めに実施する姿勢を示した(最終決定は6月)。そこに今回の大統領の年末表明発言。12月初めの予備選挙はどうなるのか、状況は混沌としている。
左派候補としてはヴァルス首相、反現政権派のオブリ氏らの名が取り沙汰されるほか、マクロン経済相が「右でも左でもない」“En marche!”という運動を開始。人気を後ろ盾に直接、大統領選に立候補する可能性もある。オランド派のカンバデリス党第一書記は、予備選挙があったとしてもオランド氏が勝利すると踏んでいるようだが、果たしてそうだろうか。
一方、右派も負けずに混迷状態だ。11月20日に行われる右派・中道の予備選挙に、共和主義者党(LR)からはサルコジ前大統領、ジュペ元首相、フィヨン元首相、コペ前党総裁、ルメール元農業相、コシュスコ=モリゼ元環境相ら12人の候補者が名乗りを上げた。予備選参加には2500人の党員と250人の議員の支持が必要なため、候補受付期限の9月には絞られるとしても、あきれた乱立ぶりだ。中道各党は不参加だし、ヤド元人権担当相のように早々に独自で立候補を表明した人もいる。2012年のリベンジに躍起となるサルコジ氏、そしてその政権下で閣僚を務めた重鎮たちはかつてのボスに反旗を翻す。右派支持者を対象とした世論調査ではジュペ氏が37%とトップの人気で、サルコジ氏26%、フィヨン氏15%、ルメール氏12%と続く。
4月20日発行のレクスプレス誌は、オランド、サルコジ両氏の顔写真に「あきらめなさい!大統領には新顔が必要」という表紙を掲げた。この2人にだけは次期大統領になってほしくないというのは多くの国民の思いだろう。現政権の左派はただでさえ不利な上に、オランド氏では壊滅的な敗退が予想される。第1回投票で高得票が予想されるルペン国民戦線党党首に対抗するためにも、ここは潔く後進に道を譲ってほしいものだ。(し)