ルノーに対する電気自動車関係の産業スパイ疑惑が新たな展開を見せている。ルノーは1月13日に「産業スパイ、収賄、盗難・隠匿」の訴えをパリ検察局に起こした。検察局はこれを受けて予審を開始し、内務省国内情報中央部(DCRI)に捜査を委任。一方、スパイ容疑を受けて解雇された幹部3人は労働裁判所に不当解雇の訴えを起こすとともに、虚偽告訴罪でパリ検察局に告訴することを決めたと報じられている。3人はいずれも、スパイ容疑を全面的に否定しており、メディアのインタヴューにも応じている。
22日付レゼコー紙によると、ルノーの内部調査により、スイスのペーパー会社や銀行口座、月5000ユーロの振り込み、中国人との連絡の存在が明らかになったという。しかし、幹部らはこうした情報をすべて否定している。同紙は、ルノーが私立探偵を雇って調査したことや、ルノー生え抜きの幹部を3人もスパイとして確保したやり方が普通では考えられないといった疑問を提示し、「謎の多い疑惑」と論じている。捜査段階なので情報に乏しいせいもあるが、どうもすっきりしない事件である。(し)