たわわな長い髪に印象的な眼差しが名前通りスペインのルーツをのぞかせるファッション・クリエイターのガブリエル・アズナールさん。伝統タピスリーを制作する母親のもとで小さいころから糸と布に囲まれて過ごし、8歳から人形づくりを始めたそうだ。 彼女が現在もつくり続ける人形たちは、個性、ユーモア、エネルギーたっぷりで、その表現豊かな世界に引き込まれる。彼女が定番でつくっている人形は36種で、各々に名前とストーリーがあるのも面白い。身長約17cmの人形たちはどれもがお洒落な出で立ちで素材やディテールが細かく表現されているうえ、女の子の脚のくびれは何とセクシーなことか! そして1/2サイズでガブリエルさんの彼をモデルにした人形は、ドクロがアップリケされたTシャツに腰履きジーンズ、少々無精ヒゲでパンクなり。彼をソファに座らせてみたら、部屋に違う存在感が現れた。 ガブリエルさんが住むのはムザイアと呼ばれるパリには珍しい小さな一軒家がビッシリと並ぶ地域だ。「この辺は高台になっていて空気も良いし、猫が横切るのんびりしたところが気に入っているの」と言う。石畳の細い路地に各家の庭の緑が溢れ、「不思議の国のアリスの館さながらの家もあるのよ」と彼女のお気に入り散歩コースである。隣接する “Place des Fêtes お祭り広場” の高層住宅地は、こんな可愛い家々を壊してできたのかと思うと非常に残念な気がする。 センスとユーモア溢れるガブリエルさんがつくるのは、人形の他にレトロでキッチュな髪飾りや、メッセージの入った下着パンツなど盛りだくさん。彼女の楽しいときめきが伝わるモノたちで、あれもこれも欲しくなってしまう。オーダーメイドでもつくってくれる人形は個性ある誕生日プレゼントに抜群では。(久)
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スパニッシュな雰囲気のガブリエルさん。
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j’aime ●Bellevue通りとMouzaïa通り
●Véronique Mauclerc ●Belushi’s Bar |