背負うものだから 軽さが大事。 パリ郊外のオーベルヴィリエに巨人人形で名高いマリオネットカンパニーがある。カンパニー名〈Grandes Personnes〉は幼児言葉で「大人」を表す。「大人になると世界に慣れて驚きが薄れる。でも巨人を見れば世界のサイズが変わるでしょ? 子供時代の新鮮な気持ちを思い出してほしい」と代表のクリストフさん。もともと普通サイズの人形も作るアーティストだった彼が巨人に着目したのは10年ほど前。ギャラリーに閉じ込められた芸術に日ごろから不満があったが「巨人と一緒なら、外に出てもっと人々と交流できる」と思った。 仲間二人でスタート。自己流で作品を作っては積極的にカーニバルに参加。その後はどこからともなく噂を聞きつけた人が集まり、現在メンバーは15人。これまでで300体くらい作った。「作り方は実験を重ね少しずつ発展させてきた。背負うものだから軽さが大事」。表面はクラフト紙を使用することが多いが、見えないところで小麦粉の袋やペットボトルなどリサイクル品も大活躍。制作期間は一体につき四人がかりで約2~3週間かかる。 さてヨーロッパではカーニバルの伝統が強く巨人人形はなじみ深い。フランスでは機械仕掛けの緻密な人形を操るロワイヤル・ド・リュックスが有名だが、〈Grandes Personnes〉は別の道を歩む。培った技術を伝達するために各地で人形作りのアトリエを開催しているのだ。「僕らは誰でも作れる人形作りにこだわる。僕らの教えを受ければ数時間で誰でも作れるようになるよ」。彼の意志を継ぐように、最近ブルキナファソでは兄弟分のアソシエーションも誕生。これからアフリカでも巨人人形の文化が花開くかもしれない。(瑞) Les Grandes Personnes, La Villa Mais d’Ici :
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人形はおよそ20キロ。「長く背負うと重い!」
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