フランス、ドイツ、ベルギー、スペインなど欧州諸国で酪農家の抗議運動が続いている。9月17日にはブリュッセルに欧州の酪農家4万人が結集し、牛乳の生産者価格暴落に対して欧州連合EUの介入を訴えた。牛乳を草原などに廃棄する抗議運動も各地で起きており、18日にはノルマンディーで350万リットルが廃棄された。
生産者価格は2008年の1リットル40セントから今年は18~24セントに暴落。欧州の牛乳価格は世界の市場自由化の流れや、欧州共通農業政策の変更、流通業者の圧力などによって2001年から下落し続け、07~08年に一旦上昇したものの、09年は急落に転じた。価格安定を支えるEU域内の生産割当は緩和されつつあり、2015年には完全に廃止される予定だ。さらに酪農家へのEU援助金は減る一方で、西ヨーロッパの酪農家はその打撃をもろに受けている。ルメール農業相は21日、酪農家への総額2億5000万ユーロの融資策を発表し、生産割当廃止の打撃を緩和する策として、酪農家と牛乳加工産業との間の価格協定を提案しているが、自由化による酪農家の淘汰は今後もますます進みそうだ。(し)