主要8カ国に欧州連合、経済新興国11カ国が加わった金融サミット〈G20〉が4月2日にロンドンで開催された。マネーロンダリング(資金洗浄)とからんで長年懸案となっているタックスヘイブン(租税回避地)、オフショア問題に、徹底的にメスを入れる姿勢が確認された。
経済協力開発機構(OECD)が作成したタックスヘイブンのリストもG20の要請で発表され、欧州でも規制努力が不十分とされる「グレーリスト」にアンドラ、モナコ、脱税の巣になっていると昨年さんざん非難されたリヒテンシュタイン、さらにスイス、ベルギー、オーストリア、ルクセンブルクなどが載っている。こうしたタックスヘイブンでは、金融機関に口座を設けた幽霊会社の資産にほとんど課税されず、銀行の守秘義務を盾に外部に情報を提供しないために本国が調査できない。この問題にはOECDが長年取り組んでおり、OECDの規制基準には84カ国が合意している。不況で国家財政が苦しい折、また、富の配分と税制の不公平感が強まるなか、世界世論の追い風を受けて、この問題が改善される方向に進んでほしいものだ。(し)