砂糖の原料となるビーツbetterave à sucreは、ごつごつした大根といった形と色だが、ボルシチやサラダに使うビーツは、どちらかというとカブに近い形で、切り口は鮮やかな赤い色。糖分だけでなくビタミンやカルシウムにも富んだ根菜だ。
最近はフランス人も、自分でゆでたり、蒸したりすることは少なくなり、あらかじめゆでられたものを買ってくることが多い。真空包装のものが増えてきているが、八百屋さんでは、好みの大きさのものを指すと、長いフォークで突き刺して取ってくれたものだ。大きくなると筋っぽくなったりするので、なるべく小さめを選びたい。
キャロット・ラペのごとく、生のビーツの皮をむいておろしたものを、ビネグレットソースで和えてもおいしいし、明るい緑と赤がきれいな柔らかい葉も、そのままサラダに入れることができる。生のものを買ってきたら、サラダとして使う前に、火を通すのが一般的だ。蒸し器で蒸すなら中くらいのビーツで40分くらい。時々先のとがったナイフで刺して、すっと通るかどうかで柔らかくなったかどうかを判断したい。時間がない人は圧力鍋で煮れば20分くらいですむだろう。いずれも皮つきのまま火を通すこと。やや冷めて手に持てるくらいになったら、ナイフで皮をむく。名シェフ、ロビュションはオーブンで時間をかけて焼くのが一番だというが、一度試してみてからこの欄で紹介したい。
こんな風にして下準備したビーツは、さいの目や薄いくし形など好みの形に切ってサラダに入れる。マッシュ菜、ゆでジャガと組み合わせるといい。アンディーブの葉を敷いた上にさいの目に切ったビーツをのせ、クルミを散らしたものも最高だ。ビーツには甘味があるので、ドレッシングはマスタードをぴりっときかせた方がうまいようだ。そんなドレッシングにみじんに切ったエシャロットや香草を混ぜ入れて、ビーツと和え、セルヴラというソーセージの輪切りをのせれば、アルザス風だ。