8月13日に公開されるピエール・ショエレ監督作品『Versailles』のギヨーム・ドパルデューは文句なしに素晴らしい。掘っ立て小屋に住む森の
主。粗野で偏狭で狂気さえちらつかせるが、得もいえぬ優しさものぞかせる。この複雑怪奇な性格は、素顔のギヨームと呼応してはいないか。
1971年、パリ生まれ。父は有名俳優ジェラール・ドパルデュー。自身のキャリアばかり気にかけ、親として十分な愛情を注いでくれなかった父親に対し屈折
した思いを抱いてきたが、女優である妹ジュリーには強い絆を感じているという。思春期以降、父親譲りの悪行は収まらず、現在に至るまで、アルコール、ド
ラッグ、暴力事件を定期的に起こし、監房暮らしは慣れたもののよう。ジュリーの影響で音楽に強い興味を持つが、子役からスタートした俳優業で次第に注目を
浴びるようになる。代表作は『めぐり逢う朝』(91)、『ポーラX』(99)、『ランジュ公爵夫人』(07)。2003年には、バイク事故で長らく治療中
であった右足を、院内感染が原因で切断する不幸に見舞われる。だが、最近の作品ではそんなハンディキャップを覆す名演技を披露する。
体制に寄りかかることを忌み嫌い、現政権に強い反発を感じている彼は、2012年の選挙で政界入りしたいと口にしている。本気ィ?(瑞)