昨年9月、〈フェイスブック〉を通して知り合った。実名で顔写真を載せ、興味の対象を語り合う会員制の交流サイトである。文芸ジャーナリストのカリーヌさんとネット経済の専門家ジェロームさんは、すぐに意気投合。一晩で45通のメールを交換し、スカイプも取り入れ、ネット手段を駆使して連絡を取りあった。そして一カ月後に開催されたブロガーのソワレで初対面。パリ政治学院に在学中、携帯電話のネットサービス会社を立ち上げたジェロームさんは、フランスでブログを始めた先駆者の一人。一方、カリーヌさんもブログ歴は長い。「お互いに離婚家庭で育った、生粋のパリっ子じゃないところなど、ベースがよく似てるんだ。しかも同じビジョンを持っていることがすぐに分かったよ」
「互いに別の人と別れを経験した後だからこそ、大人の付き合いができるの。彼は私を変えようとしないし、私の人生を変えてもらおうとも思わない」とカリーヌさん。今までずいぶん年上の人と暮らしてきた彼女にとって、3歳下のジェロームさんは論外の「若造」だった。しかしそれも偏見だと判明。「ロマンチックな詩や手紙は、もう飽き飽きよ。ロマンチシズムは理想と現実の溝を深めるだけ。モンマルトルの丘で愛をささやかれるより、ジェロームのように私専用のメイク落としをそっと浴室に置いてくれる方が、ずっと嬉しいわ」
そんな二人の朝はFrance Infoで始まる。政治、宗教、ネットのニュースが聞こえてきたらぱっととび起き、コーヒーも忘れて語り合ってしまう。お互いを「フランス男にしてはめずらしく気配りの人」「こんな討論のできる女性(ひと)に出会ったのは初めて」と、熱い視線を交わす。
今は、それぞれのアパートを行き来する日々だが、同居は「悪くないかも」と案外クールなジェロームさんに対して、「強制なんかしないわ。ある日、私が子供を欲しくなって拒まれたとしても、その考えを尊重する。その時は、私たちの物語が終わりを告げるのかしら」とにんまり釘をさすカリーヌさんだった。(咲)
二人の出会いのきっかけになった〈フェイスブック〉について、二人で本を書いた。
これから相手に期待したいことは?
「仕事面で才能をあますことなく発揮してほしい」(カ)
「家庭と子供を持つという、お互い今までなかった経験かな。それは彼女の望みだから」(ジ)
前回のバカンスは? 「冬のアイスランド」
夢のバカンスは?
「ジェロームとならどこでも!と言いたいけれど、セイシェル島でのんびり過ごすことかしら」(カ)
「サンクトペテルブルグからロシアを横断」(ジ)
最近二人で見た映画は?
「ショーン・ペンが監督したIn to the wild」
最近二人で出かけたコンサートは? 「エアーかな」
二人のお気に入りのレストランは?
「気さくなスペイン料理店 Kezako(12 rue Veron 18e)」
カップルとしての満足度を5つ星でいうと?
★★★★1/2(カリーヌ)/ ★★★★★(ジェローム)