ピレネー山脈が近いアリエージュ県のベツマルと呼ばれる谷間で作られているチーズが、ベツマル。もともとは高地の香り高い草を食べた牛の乳で作られてい たが、最近は、羊や山羊の乳からも作られている。直径30センチ前後、高さ10センチほどの大きなチーズだ。皮は自然にできたものだが、湿ったカーブで 3、4カ月熟成される間、毎日ブロサージュされてオレンジ色になる。古くから作られているチーズで、12世紀にルイ6世が味わって大いに喜んだという記録が残っているくらいだ。19世紀くらいからパリの人たちにも愛されるようになったという。 身は明るいクリーム色で、サン・ネクテールを思わせる弾力があり、放牧地で飲む牛乳の後味ような優しさがあり、子供たちにも喜ばれる。生ハムなどとミッ クスサンドにするのもいい。熟成が進むと、皮と身の色も濃くなり、しっかりとした歯ごたえになってくる。味もちょっと酸味を帯びたような通好みになってく る。こんなベツマルには、マディランのようなこくのある赤ワインをお供させたい。(真) |