2月6日から米バージニア州アレクサンドリア市で始まった、9・11事件の唯一の容疑者ザカリアス・ムサウイの裁判で、ムサウイ被告は、死刑判決を受けてアラーの殉教者になることを望んでいるかのごとく、米大統領官邸に墜落させる予定だった飛行機を操縦することになっていたと自ら証言(3頁参照)。 ムサウイは、1968年5月、フランス南西部の港町サンジャン・ド・リューズで生まれる。両親はモロッコ人。熱心な生徒で、職業バカロレアも取得し、ナルボンヌにある高校で生徒監督の職に就いていたが、1992年に英語研修を目的にロンドンへ。そこでアルカイダに近い信徒が多いモスクに通ったことが運命の分かれ道になった。1998年にはアフガニスタンでアルカイダの軍事訓練を受け、2001年2月に米国へ。飛行機の操縦を習っていたが、離陸や着陸の操作に興味を示さないところが疑われ、FBIに逮捕された。 「弟のザカリアスは、温かくオープンな人柄だったが、自分が正当に評価されていないと信じていて、人種差別に我慢ができなかった。そこがイスラム原理主義者に狙われたのだろう」と、ムサウイの兄は語っている。(真) |