かつてパリっ子の胃袋を支えた中央市場が、1969年にランジスに移転する前から、半世紀にわたってレアールの変貌を見守ってきた店がある。エナメルの看板や陶器を並べるジョゼットさんのブティック兼工房は、ブルボン朝の創始者アンリ四世が暗殺されたフェロヌリー通りの、12番地に位置する。地下鉄とRERの郊外線が交差し、 1日に80万人が行き交うパリのど真ん中、シャトレ/レアール駅の至近にあって、大型ショッピングセンターや若者向けの衣料品店、ファーストフード店がひしめく大繁華街の片隅。その合間を縫うように、今となっては希少価値のネズミ捕り専門店や調理器具店が存在する。この地区の魅力は「超モダンの影に超レトロが隠れていること」 例えばビストロ一つとっても、肉好きに定番の〈chez Denise〉のような、昔さながらの店が愛され続けるのも、この辺りならでは。「もうすぐ始まるレアールの再開発で、新たな変化が訪れるだろうけど、私たち小売業者や職人にとっては一番の心配の種よ」。つい最近も、ここ一帯の土地を買い取り、大型電化店を建設する話が持ち上がったばかり。商店主たちが結束して、なんとかその計画を食い止めたものの、そんな現状を目の当たりにするたびに、冷や汗の出る思いがする。 またこの界隈は、夜8時を皮切りに人々の層が、がらっと変わる。昼間はここで働く人をはじめ、郊外からの若者や旅行者でごったがえし、夜はどこからともなく夜遊び人種が出没するのだ。ジョゼットさんにとって、レアールは仕事場であって、住む場所ではない。 「庶民的で人間臭い地区が好き」という彼女の住まいは、ダンフェール・ロシュロー広場から目と鼻の先。パリの魅力は「ある日偶然扉を開いた所に、思いがけない驚きが待っていること。時を忘れるほどはっとさせられる、魔法の瞬間がね」。まるで1区から20区まで、どこかしこに潜んでいる宝探しのようだ。(咲)
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●Le Bistrot des Halles 「ここのサンドイッチがやめられない」とジョゼットさん。産地の異なるアンドゥイエットやブレス産のブルーチーズ、自家製のフォアグラやゲランド産塩入りハムのリエットなど、魅力的なメニューがズラリと並ぶ。赤ならシノンにクローズ・エルミタージュ、白ならサンセールにゲビュルツなど、グラスワイン(3.15e~4.20e)の種類も豊富で、買い物帰りに一息、観劇直前の腹ごしらえにも、おすすめのワイン・バーです。(咲) 15 rue des Halles 1er 01.4236.9169 M。Chatelet, Les halles 7h~21h(日休) |
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迷い猫
「迷い猫探しています」という張り紙を見た。お礼は十分いたします、と書いてある。もしかして…と頭をよぎったのは、少し前に耳にした猫さらいの話だった。
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www.animaux-familiers.org/animal_machine/marche_mondial.html “La fourrure de chiens et chats : un marche mondial” www.30millionsdamis.fr/FR/Dossiers/Contrelafourrure/Lescandaleuxtraficde www.loup.org/ www.spa.asso.fr/ |