3月11日、フランスの海外県レユニオン島の税関で発見されたのは偽造のエルメスでもラコステでもなく仏製園芸具 Haemmerlinに似せたHammer Lineというラベル付きの中国製の運搬用一輪車556台! それらはレユニオンを経てフランスまたはEUの他の国に不正輸出されるものだったのであろう。
偽造市場もグローバリゼーションに拍車をかけている。時計やバッグ、香水、衣類、CD(南米・ロシアで50%、アジアで90%が偽造)、アディダス、ナイキ製品はいうまでもなく、携帯から玩具、車・飛行機の部品、バイアグラ(昨年インド産の”Venigra”という名称の50万錠をロワシーで没収)など薬剤までニセモノが5大陸で流通し始めている。コピー・偽造品の売上高は世界貿易の10%にあたる5000億ユーロにのぼり、世界のドラッグマネー総額を上回る勢いだ。フランスだけで60億ユーロ、国内の約3万人の職が奪われていることになる。
昨年フランスでは約350万点の偽造品が没収されている。その半数はロワシー空港の貨物課が発見(04年度は前年比76%増)。その90%は東南アジア、中国製だ。
ところが、ロワシーで発見される偽造品は欧州向けとはかぎらず、たとえば昨年没収したケンゾーの香水3000個はドバイで出荷されナイジェリアのラゴス行きだったように、香港からボゴタへ、サイゴンからプラハやメキシコへ、中国からカイロへと偽造品は第三世界からロワシー空港などを経由し第三世界へと拡散。偽造網の一部は、国際麻薬組織のドラッグマネーの洗浄化にも利用されているともみられている。
フランスでは偽造することも偽造品を保持することも禁じられており、どちらも禁固最高3年、罰金30万ユーロ、偽造組織犯には懲役5年と50万ユーロの罰金刑。つい最近、テレビで伊仏国境の仏警官がイタリア帰りの車を停車させ土産品を取り調べているのを報道していた。ナポリの露天商からニセと知りつつ買ったエルメスのスカーフに対し、同ブランド品の3倍額の罰金を国境警察は支払わせていた。イタリアは偽造品の経由地であるばかりか、中国・アジア製偽造品の組立てや仕上げ工場も多く、同国からの出荷量は10年間で13倍増!
世界の産業をゆるがしつつある偽造品市場の浸透は、ブランド品=高価という価値観から遠ざけられてきた、買えない者の不満解消と、ブランド神話破壊の快感、そして簡単にどこでも買える偽造CD、DVDなどの大衆化に根ざしているよう。(君)
D i c o
conseil constitutionnel
(コンセイユ 男性名詞)
conseilには「アドバイス、顧問」あるいは「会議、審議会、評議会」などの意味がある。時々新聞の見出しなどで見かけるConseil constitutionnelは、「憲法評議会」と訳されているが、採択された法律や批准前の条約の合憲性を審査する国の重要機関の一つ。これまでもさまざまな法律にマッタをかけたことがあったが、最近では、フィヨン教育相による教育基本法89条のうち2条が憲法に反するとし、同2条を無効にしてしまった。Conseil d’Etat (国務院)は政府の行政の諮問機関で、行政上の争いに最終的な裁断を下す役割も持つ。Conseil des ministresは、エリゼ宮で大統領主宰のもとに定期的に開かれる閣議のこと。(真)