ラファラン内閣で「治安のことなら任せとき」と自信満々、国民の人気も上々のサルコジ内務相。1月23日、国民議会で採択されたサルコジ法案は、昨年末に上院がすでに厳しくしたものにさらに新しい処罰対象を加えフーリガンから物貰い、売春婦、ジプシー、さらには英・米国にも存在しない国歌・国旗への侮辱罪まで、今までなかった分野にまでおよぶ。 昨年5月、シラク大統領が参観したサッカー・フランス杯決勝戦で、フランス国歌斉唱の際にバスチアチームの応援団がブーイングし、激昂のあまり大統領が退席したシーンは忘れられない。 この出来事を踏まえてか、国歌・国旗侮辱罪として禁固最高6カ月+罰金7500€ (約95万円) ! そして過去に処罰を受けたフーリガンがふたたびサッカー場に足を踏み入れたなら禁固2年+ 3万€(約375万円)の罰金。ちなみにこの2法案は野党も含め満場一致で可決されたという。 なかでも左派系市民や売春婦らがデモまでして抗議したのは《売春》取締法だ。路上で売春婦がはでな言動や服装で客引き(「積極的でなくても」と修正される)を行った場合、禁固2カ月+罰金3750€(約45万円)。とくに東欧からの密入国売春婦とそのマフィア網を取り締まるために、警察は彼女らがヒモを密告すれば滞在・労働許可証を与えるとしている。 売春婦の客引きを禁じるサルコジ法は当事者にいわせれば、売春をジャングルに放つのと同じで、電話やインターネット、バーなどでの売春を盛んにさせるばかりかぽん引きをさらに暗躍させ、エイズ予防対策なども水の泡になる、と警鐘を鳴らす。ではドイツやオランダにならい売春宿を公認すれば監視が可能に? それこそ売春宿とマフィアの関係を深めるばかり、とインテリやフェミニスト、”売春労働者”ら、売春廃止派と擁護派の間で激しい論争が交わされている。 《物貰い》に関しては、ユスリまたは犬などを使って脅した場合、禁固最高6カ月+罰金3750€。未成年者または心身障害者に物乞いをさせ搾取した場合は、禁固最高3年+罰金4万5 千€(約560万円)。 《放浪生活者》ジプシーなどが無許可で空き地を占拠した場合、禁固最高6カ月+罰金3750€。さらにキャンピングカーや車の没収、3年間運転免許停止など、放浪生活者の追い出しに努めるようだ。 《団地の建物の入口ホールにたむろする若者》が住人に迷惑をかけた場合、禁固2カ月+3750€。そして議員から警官、消防団員、交通機関職員、医療関係者まで《公職者への罵りや脅し》は禁固最高2年+ 罰金3万€(375万円) ! このように建物の入口から、サッカー場、路上、空き地、バスや地下鉄の中まで当局の目が光るようになるのである。 売春婦にしろ物乞いにしろ放浪生活者にしろ行き場のない若者にしろ、左派野党から見れば、みな貧困層に属するのである。よってサルコジ内務相は「貧困者に向かって宣戦布告した」ことになる。しかし国民の63%(右派支持者89%)はサルコジ法に賛成しているのである。 これからは物貰いや売春婦、フーリガン、国歌・三色旗の冒とく者などでアメリカ以上に勾留人口が増えていくのではないだろうか。(君) |
仏国内売春人口 |