パリには、以前からイラストレーターの仕事をしながら滞在していた佐野智香(ちか)さん。1年半前に一念発起して、今までに習ったことがなかったフランス語の勉強をソルボンヌの文明講座で始めた。それもひと段落がつき、現在学生からアーティストへの身分変更を検討中。これで気持ちを切り換え、しばらく休止していた制作活動を本格的に始動するという意味合いもこめてのことなのだ。
東京書籍発行の「フランスお菓子おみやげ旅行」のイラストを担当したり、昨年夏にはマレ地区にあるサロンドテ「マレ プリュス」で水彩画と和紙を使ったイラストの個展を開催。さらに、例えばサンジェルマンデプレのドラゴン通りにある「Carte d’Art」や、ポンピドゥ・センターやボンマルシェのカード売り場で智香さん制作のカードが売られているのだから、その仕事ぶりはすでにプロ。
日本語のメッセージと、日本独特の花や盆栽、食べものや楽器を和紙や千代紙をコラージュして描いた智香さんのイラストは、色鮮やかで見る人も楽しくなる。
パリに滞在するようになってから、デファンス、アレジアなどと毎年のように引っ越しをくり返している。そのうえ、現在のベルビルの住まいも大家さんの都合で来年には引っ越しをしなければならないので頭が痛い。ベルビルは、下町の雰囲気とご近所との交流があるのが気に入っている。最近も同じ建物の住人が集まって中庭で持ち寄りパーティ。智香さんも巻き寿司持参で参加した。そんなわけで次の引っ越し先も右岸になりそう。
アーティストの活動は、ひとつの作品を作り上げるのはもちろんだが、それを自分自身でギャラリーなどに売り込まなければならないのが大変だ。「だれかこういうことが得意な人が代わりにやってくれるといいのですけれど」と笑う。今後の活動の予定としては、ギャラリーで個展を開くこと、絵本の制作と「白」をテーマに何か作品を創りたいと意欲まんまんだ。(里)chikasa@freesurf.fr