アートとデザイン”Graphisme(s)” 展ほか

 最近「デザイン」が再認識されている。アートの中でも “Habitat(居住空間)” を意識した空間構成や作品をよく見かけるし、身の周りでもコンセプト重視のカフェやお店がぐっと増えているのでは? まずはミッテラン国立図書館で開催されている”Graphisme(s)” 展から。
 1997年から2001年までの作品を4つのテーマ:関心を持たせる(ポスター)、読ませる(レイアウトや商品パッケージ)、確認・認識させる(ロゴ)、知らせる(標識)に分けて紹介している。ところが、作品数やそのセレクション、そして展示方法からはそれぞれの作品に関する情報さえもほとんど汲み取れず、過去5年間における新しい傾向も系統立って見せきれていないのは非常に残念だ。しかしここで改めて気付かされるのは、ポスターや標識をはじめとするこれらの媒体は好むと好まざるとに関わらず生活環境として存在している、ということ。そして短期的でも町の景観となり、日常的に情報や目印として直接または無意識に訴えかけてくる要素だ、ということ。これらは重要なポイントだ。
 機能美、そしてユーモアが優れていたものはジョルジオ・ペッスのアルスニック劇場のための一連のデザイン、ピクセル画面で構成されたコンコルド広場の泉の写真(昨年の工事期間の仮設壁)など。どんな理由かは見てからのお楽しみ。
 次に、デザイン雑誌 “Intramuros” の別冊、 “design paris” は、現在パリで見られるとてもデザインな場所を紹介したガイドブック。非常に洗練されたブティックはもちろんのこと、リニューアルしたメトロの駅(例えばBonne Nouvelle)や美術館、ギャラリー、ショールームの情報なども詰まっている。キオスクなどで30Fで手に入る。
 最後はウェブ上で購入できる現代アーティストによる壁紙コレクション。
15m2の壁面用のキットの中にはモチーフであるステッカーと説明書が。それに従って壁作品を自ら設営(!)する。誰でも995Fで手軽に芸術作品を、というマーケティングはふと某タレントがデザインしたタイツを思い出させるが、ここはあくまで美術品。最後に作品・作家名入りプレートを貼ることもお忘れなく!(礼)

TSUKAMOTO Akihito “Condomania Tokyo”


TODA Seju “Neus is the palm of our ere”

www.art-wall-sticker.com
*Graphisme(s) 11/10日迄 入場無料
フランソワ・ミッテラン国立図書館 :
11 quai F.-Mauriac 13e


Jean Dubuffet(1901-1985)

 デュビュッフェの生誕100周年の回顧展が開かれている。美術史的に引用されるアール・ブリュット(生の芸術)とかアンフォルメル(非定形の)という言葉だけではとても語りきれない一人の作家を知る良い機会である。40歳を過ぎてから絵画に専念する決意をした彼は、その後半生の中で、作品にそして文章にと実に多くの足跡を残している。デュシャンともボイスとも違った意味でアートの定義を広げた歴史的意義は計り知れない。
年代を追った展示から作家の主題やスタイルの変化が分析されているが、ほぼ全ての作品において画面がぎっちりと使い尽くされていることに気付く。晩年の繁殖し続ける立体オブジェやパズルのような平面作品は勿論のこと、初期のポートレイト等においても紙面全てを埋めつくし、まだあり余るエネルギーを発しているのには考えさせられることが多い。
 時代によって、洞窟壁画を思わせ、またガウディや草間弥生のそれを、または宇宙の爆発を思わせるその作品群には、一貫して彼の追及した絵画の圧倒的な全体性が見てとれる。その圧倒感とは原始的で無垢な力であり、創造の根源が生まれる現場そのものである。
 最後の展示室では、抽象的な混沌から生命が生み出されてきたような宇宙的な広がりを感じるだろう。そこでは、太古から続く宇宙というカオスの中から新しい生命や規則を作り出してゆく様子が色鮮やかに描かれていた。(ローラ)

*ポンピドゥ・センター 12/31日迄(火休)


●Philippe RAMETTE(1961-)
「雷に打たれるための椅子」、「潜在的な独裁者のための絞首台」…。綿密に設計された奇妙なオブジェ。10/13迄
Galerie Xippas:108 r.Vieille-du-Temple 3e
●Dan GRAHAM(1942-)
60年代ポップアートの先鋭的作家、現在も活躍するニューヨークのアーティスト。ラジカルでミニマルな写真、ビデオ・インスタレーション作品。10/14迄
Musee d’Art moderne de la ville de Paris : 11 av. President Wilson 16e(月休)
●<250 ans de pub>
18世紀から現代まで、広告美術館所蔵コレクション。10/14迄(月休)
Musee de la Publicite 107 rue de Rivoli 1er
●Rebecca BOURNIGAULT(1970-)
私小説のようなビデオ作品と水彩画。
Galerie Almine Rech:11/24 rue Louise-Weiss 13e 10/21迄
●<グラフィティ・アート>
400m2の空間に18人のグラフィティ・アーティストのパワーが炸裂。10/27迄
Galerie du jour agnes b.: 44 rue Quincampoix 4e
●<Un art populaire>
「大衆芸術」をキーワードに世界各国から作品を集める。11/4迄(月休)
Fondation Cartier: 261 bd Raspail 14e  
●Philippe HALSMAN/Hans NAMUTH

数々の著名人の魅力を捕えたHALSMAN(1906-1979)と、アーティストの制作風景を真摯に撮影したNAMUTH(1915-1990)。20世紀を代表するふたりのポートレート 作品。10/5~1/6(月休)
Hotel de Sully: 62 rue Saint-Antoine 4e
●Helen LEVITT(1913-)
移民、侘しい住まい、ハーレム、ぼろ自動車が吹き溜まる交差点、1930年代から撮り続けたNYの街。170点の写真とドキュメンタリーフィルム。11/19迄(火休)
Centre national de la Photographie: 11 rue Berryer 8e
●Raymond SAVIGNAC(1907-)
戦後フランスの広告を一新したイラストレーター。明快な色使い、ユーモアたっぷりのイラストを見ると、誰もがほのぼのと幸せな気分になる。1/12迄(日月休)
Bibliotheque Forney: 1 rue du Figuier 4e
●Arnold BOKLIN(1827-1901)

物質主義社会を嫌悪し、理想を求めてイタリアへ赴いたスイス人画家ベックリン。そこに古代の神々の住む世界を見い出し、ディオニュソス的生命力と死の静寂が漂う作品を残した。代表作「死の島」は、19世紀後半の象徴主義絵画の重要な作品のひとつ。10/2~1/13
オルセー美術館(月休)