武装イスラム集団(GIA)によるテロ闘争で内戦状態が続くアルジェリアでは、1992年から現在までに市民約15万人が虐殺されている。欧州の調査団やジャーナリストの間では、イスラム主義者や知識人などの反対派を弾圧したり、軍部が主導権を握る政府の権力を強めるために、政府軍も一連の虐殺を行い、GIAのせいにしているのではという疑いが強かった。
今年の2月にフランスで出版された “Sale Guerre”* がこの疑いを確かなものにしたといえる。著者のスアイディアさん(32)は、92年から95年まで下士官として軍の特殊部隊による市民虐殺作戦に参加していた。昨年7月、偽のビザでフランスに入国し、彼らを “怪物に変えてしまった” この特殊部隊の実状を書いた。
「少年は哀願し、泣いていた。周りでは兵士たちが軽蔑の目で彼を見ていた。中尉はプラスチックのかけらに火をつけて、この不幸な少年の服に放り投げた」
作戦の日付や場所、命令を下した将校名や虐殺の様子などが詳細に書かれているため、この証言を無視できなくなったアルジェリア軍幹部は「外部から操作されている」と反論。現在はパリ近郊にあるホームレス向けの寮に住んでいるスアイディアさんは「国際裁判所の前で証言する準備ができている」と語る。(真)
*Ed.La Decouverte 95F
“Le gamin suppliait, pleurait sous le regard meprisant des militaires. Le lieutenant a allumé un bout de plastique et l’a jeté sur les vêtements du malheureux, qui s’est transformé en une véritable torche humaine.”