89年市議選でパリ3区のドミナチ元区長(現パリ市第一助役) に投票した架空選挙人800名、95年は320名の偽造名簿が、区長室のコンピュータから消し忘れられていたために発覚。5月25日、同氏ほか、息子2人(各々市議員、地方議員) を含む関係者15名が不正選挙容疑の槍玉に上がった。 チベリ現パリ市長が95年まで区長だった5区にも調査の網が張られ、不正選挙疑惑の火がつく。60年代以降、同区で落選したことのないチベリ市長が、97年国民議会選挙で初めて第1回投票で過半数に達せず、コナン・ソラル社会党候補との決選に持ち込まれた。結果は2275票の差をつけてチベリ氏が当選した。が、その結果に疑いを抱いた社会党候補は、自ら居住登録と選挙人名簿を調査した。ある住所には非居住のアフリカ系仏国籍の選挙人35人が登録されており、何人かは市の清掃局に雇われていることをつきとめた。以来、社会党候補は選挙の無効を訴えてきた。だが98年2月、憲法評議会はチベリ氏の当選を有効と認めている。 その後の警察の綿密な調査により、5区内に存在していない住所や選挙人が居住しない住所は約百カ所にのぼり、架空の選挙人は7728名におよんだ。そのうちの3315名が決選でチベリ候補に投票したことが明らかに。架空選挙人約百人の証言によれば、彼らはRPR(共和国連合)関係者や区役所、市庁舎の職員に、チベリ配下の総元締め、5区のアフレ助役に紹介された。RPR党員になるか 5区に選挙人登録する代わりに、市の職員になれ、公営住宅に入れ、託児所に優先的に登録してもらえたりと、架空選挙人の勧誘、折衝をアフレ助役が取り仕切っていたよう。 6月16日、予審判事は区役所とRPR本部及びアフレ助役の自宅を家宅捜査し、偽造選挙人名簿の入っているハードディスク 2枚を押収、 アフレ助役の取り調べを開始。 ここまできてはチベリ市長も降参するかと思いきや反撃開始。特に彼を裏切りセガン次期パリ市長候補側についたRPR党員らが、過去にパリ市や公共事業下請会社から受けた架空給与や住居面の特権等を暴露するという奇襲作戦だ。シラク前市長顧問だったルルーシュ国民議会議員には市が払った架空給与額250万Fの返済を請求。架空給与でRPRの裏金工作にあたったジュペ首相時代の官房長官3人の過去も暴露し、6月15日、3氏は取り調べを受けるハメに。 チベリ氏の逆襲はどこまで行くか、やぶれかぶれのパリ市長の憎悪のこもった銃弾は四方八方に飛び散っては党内の敵に命中していくはず。その銃口は暗にチベリ市長の前任者、シラク大統領に向けられているのはたしか。 チベリ市長の狂おしいまでの修羅の あがきを目前にし、パリ市民としてなんともおハズカシイ。(君) |
5区の架空選挙人の登録住所例 41人 19 rue Censier |